高齢化社会の現代、介護とならび、関連した問題が急増しているのが認知症です。 被相続人や相続人が認知症となった場合に備え、なにも準備をしておかなければさまざまな相続トラブルの原因となってしまいます。
今回は、相続人のひとりが認知症となり遺産分割の協議ができないといった場合についてお話いたします。
認知症の相続人との遺産分割協議問題
Aさんは、父親が亡くなった際、遺言書がなかったために相続人を集め遺産分割の協議をおこなう必要が出てきました。 相続人になるのは、Aさんの母(被相続人の配偶者)・長男のAさん・Aさんの弟である次男の3人です。
しかし、Aさんの母親は重度の認知症のため施設に入っていて、とても協議に応じられる状態ではありません。 認知症で物事の判断ができないとはいっても、配偶者は法定相続人であるため、母親を排除した遺産分割協議は無効となってしまいます。 こういった時のために『成年後見制度』というものが用意されています。
成年後見制度とは
成年後見制度とは、認知症や知的障害、精神障害などによって自分で物事を判断する能力が不十分な人を保護するための制度です。
物事を判断する能力が不十分な人たちは、不動産や預貯金などの財産を管理したり、身の回りの世話のために介護サービスなどの依頼や施設への入所に関する契約を結んだり、遺産分割協議などをおこなう必要があっても難しい場合があります。 その他にも、自分に不利益な契約であっても判断がうまくできずに契約を結んでしまい、悪徳商法の被害にあうおそれもあります。
こういった自体を防ぐため、サポートする後見人を家庭裁判所が選定して、一定の法律行為をおこなう時には、後見人が代理でおこなえるようになる。 それが成年後見制度です。 Aさんの母親も、この成年後見制度を選定してもらうことで、遺産分割協議に加わってもらうことができます。
後見制度をつける時に気をつけておきたいこと
上記のように、遺言書が残されておらず、相続人に認知症の方がいるケースでは成年後見制度の活用がおすすめですが、気を付けていただきたいこともございます。 まず、後見人を選定してもらうためには、家庭裁判所に申し立てをしなければいけません。 この手続きには費用がかかりますし、後見人が選定されるまでには3ヶ月から半年ほどかかります。 また、後見人はかつては親族がなることが多かったのですが、横領等のトラブルが多発したことから、最近では専門職である弁護士、司法書士が選ばれることが増えてきました。 後見人の役割はあくまで本人の財産の維持・管理であることから、認知症となった本人が相続人になった場合は、原則として法定相続割合での相続を基準に分割協議をおこなうことになります。 そのため、極めて画一的な分配となるため、相続人全員での柔軟な分割協議が困難になります。 Aさんは家庭裁判所に申し立てをし、半年後に母親の妹(Aさんの叔母)が後見人に選定されて、やっと遺産分割協議をおこなうことができました。 遺言書があれば、こういった手間や費用、手続きにかかる時間などは大幅に減らすことができます。 遺された家族のためにも、先を考えた遺言書を用意しておきましょう。
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