これまで、家族間で起こる相続問題のケースについて説明をしてきましたが、今回は相続権を持つ家族外とのトラブルについて説明します。
前妻の子の相続権についてのトラブル
Aさんはご自身は初婚ですが、ご主人は一度離婚しており、前妻であるBさんとの間に子どもが1人いました。 Aさんはそのことも承知の上でご主人と結婚し、2人の間には長男も生まれ、幸せな日々が続いていました。 ところが、ご主人が交通事故に遭って急死してしまいました。 長男はまだ6歳で、将来どれほどの教育費や生活費が必要になるのか、見当もつきません。 Aさんは、相続財産は多ければ多いほどいいと望んでいました。 そんな時、親戚が集まってご主人の遺産がどのくらいあるか話し合った席で、前妻Bさんの子どもにも遺産相続の権利があることを知らされました。 ご主人は遺言書を書いていなかったので、Aさんとその長男、前妻Bさんの子どもの3人で、遺産分割協議書を作ることになりました。 協議の日となり、前妻Bさんは高校生になる息子を連れてきました。 Bさんは既に再婚しており、その子は新しい父親と養子縁組をしているということです。 そのため、Aさんは前妻Bさんに対し、相続権の放棄を主張しましたが、Bさんからは強い反発を受けました。 それぞれの言い分は以下となります。 <Aさんの主張> ・自分の子どもはまだ小さいため、考慮して欲しい ・養子縁組をしているのなら、息子さんはBさんのご主人の遺産を相続できる。その上で(Aさんの)主人の遺産も相続をするのは不公平だ <Bさんの主張> ・離婚した時には息子はまだ10歳で、7年間、再婚するまで1人で子どもを育ててきた。養育費も1円も貰っていない ・息子だって被相続人の子どもであるため、父親の遺産をもらって何が悪いのか このように、2人の主張は平行線をたどり、結局は家庭裁判所に持ち込まれました。 結果、相続権を放棄して欲しいというAさんの主張は認められずに、前妻Bさんの子どもにも法定相続がなされたのです。 なお、Aさんの子ども・Bさんの子どもはどちらも未成年です。
法定相続人が未成年の場合は遺産分割協議に参加することができないため、代理として成人の「特別代理人」を立てる必要があります。 今回のケースでも、実際にはAさん・Aさんの子の特別代理人・前妻Bさんの子の特別代理人の三者で遺産分割協議がなされることになります。
認知された隠し子の相続権についてのトラブル
Cさんは、長年連れ添った夫を病気で亡くしました。 葬儀を終えた数日後、一人の見知らぬ女性Dさんが少年を連れて尋ねてきました。 Dさんいわく、その子はCさんの夫との間にできた子との事です。 Cさんは、自分の知らないところでひそかに愛人を作り、隠し子までいたという事実をすぐには信じられませんでしたが、Dさんの戸籍謄本の子どもの欄には、確かに父として夫の名前が書かれていました。 Cさんは、夫に対する愛情と信頼がすっかりさめていくのを感じ、2人の娘にもその話をすると、娘達も同様に怒りを示し「家族を裏切っていたのだから、愛人の子に遺産をあげる必要はない」と言いました。 数日後、Dさんが再び訪れ、遺産分割協議書を作らないかと提案をしてきました。 Cさんと2人の娘はとんでもないと拒否を示しましたが、Dさんは、認知されている子なのだから相続の権利はある、裁判所に訴えてもいいと告げました。 法律では、非嫡出子(婚姻関係のない男女の間に生まれた子)は、認知されていなければ相続人にはなりませんが、認知されていれば相続人になることができます。 そのため、いくらCさん親子が反対しても、認知された子が相続権を主張すれば、認めなければいけないのです。 こうして、Cさんの夫の財産は、Cさんが1/2、残りを2人の娘と愛人Dさんの子で3等分することになったのです。 もし、今現在隠し子がいて認知をしていないのであれば、きちんと認知して、そのことを家族にもはっきり伝えておきましょう。 認知をしないままだと、相手の女性から強制的に認知を請求され、家族を巻き込んだ大騒ぎになるかもしれません。
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