前回までのコラムでは、遺言書作成前の準備のひとつ『相続人を特定する方法』をお伝えしました。
もうひとつの準備は『財産を特定すること』です。
遺産としてどのような財産があるのか、それを知っておかなければ誰に何を相続させるかを決められないので、きちんとした遺言書を作ることができません。
そのため、今自分の持っている財産には何があるのか、それらの財産にはいくらぐらいの価値があるのか、その他にもマイナスの財産と呼ばれる負債等は何がどのくらいあるのかも含めて把握しておく必要があります。
財産目録の作成は、それらを把握するにあたってとても有効な手段と言えます。
財産目録とは
財産目録とは、被相続人(あなた)の財産の内容がひと目でわかるようにまとめたものになります。
財産目録には決まった書式がありません。
財産目録を作ることは法律で決められているわけではありませんが、作っておけば相続の対象となる財産がはっきりし、残された家族がおこなう相続手続きもスムーズに
進めることができるようになります。
ここでは相続税が発生しないケースの人を対象にしたお役立ちコラムを連載していますが、財産目録を作ることで、いざ相続になった時に本当に相続税がかからないのかどうかの事前確認にもなります。
財産目録を作る時のポイント
財産目録には決まった書式はないとお伝えしましたが、次の3点についてはきちんと記載するようにしましょう。
1)相続財産の種類を正確に書く
2)相続財産の所在をはっきりさせる
3)数量・割合も正確に書く
相続財産の種類には「不動産」「金融資金」「動産」「その他財産」の4つがあります。
これらに加え、マイナスの資産、つまり住宅ローンなどの負債も相続財産に含まれるため、一緒に記載しておく必要があります。
以下はそれぞれの財産について記載しておくべき項目をまとめたものになります。
財産目録を実際に作る際の参考にしてください。
財産目録に記載するべき内容
【不動産】
所在地、地番、地目、面積、所有割合、共有者、評価額、抵当権設定など
【金融資産】
預貯金……金融機関名、口座名義人、口座番号、種類、残高、満期日など
有価証券……証券会社、銘柄、証券番号、種類、枚数、時価、購入日など
保険契約……保険の種類、保険会社、証券番号、保険金額など
【動産】
自動車、テレビなど細目を正確に
【その他資産】
宝飾品など、細目を正確に
【負債】
借り入れ会社名、借り入れ日、返済日、金利、元本、返済額、保証人など
相続は誰もがいつか関わる大切な出来ごと。
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