相続財産に不動産がある場合の、不動産評価の方法をお伝えします。相続財産を特定する場合にお役立ていただけます。
建物の不動産評価
一軒家の場合
一軒家の場合は、固定資産税を払っている人に毎年市町村から送られてくる『固定資産税の課税明細書』を見れば、建物の評価額がわかります。
この課税明細書には税額を決める評価額が記載されています。
建物は『家屋』として記載されているので、そこを確認してください。
一軒家を他人に貸している場合には、建物の評価額は通常の3割減の評価額となります。
マンションの場合
分譲マンションにご自身が住んでいる場合の評価は、専有部分と共有部分の両方を含めた評価になります。
評価額の基本的な考え方は、土地と建物に分けてマンション全体の評価額を計算し、それに各戸の持ち分割合をかけて評価額を算出します。
持ち分割合とは、マンション全体に対して自分が所有する専有部分の割合のことです。
これは、通常であればマンションの売買契約書に明記されています。
マンション全体の土地の評価額は、路線価から求めます。
路線価×土地の面積×画地補正率で計算したマンション全体の土地評価額にあなたの持ち分割合をかければ、専有部分の土地評価額を計算することができます。
建物の評価額については一軒家と同じで、固定資産税評価額と同じになります。
この2つを合わせた額が、あなたの専有部分の評価額になります。
マンションの土地全体の評価額とあなたの専有部分の固定資産評価額は『固定資産税の課税明細書』にも書かれています。
マンションの場合も、その部屋を第三者に貸している場合には評価額が下がり、本人が住んでいると仮定した時の2~3割減の評価額になります。
例えば、5000万円のキャッシュを持つ方がそれを定期預金にすれば相続税評価はそのまま5000万円となりますが、タワーマンションを購入すれば相場は5000万円でも相続税の評価は下がり、その分得になります。
他人に貸す場合にはさらに評価額が下がるため、現金を持っているよりもマンションの部屋を買って誰かに貸した方が生前の相続税対策として有効と言われます。
ただし、これはあくまでも相続税のことのみを考えた場合であり、相場の急落や賃貸の場合の家賃水準や空室リスクを同時に考える必要もあります。
相続税は節税できても、相続人が破綻してしまっては意味がありません。
農地や山林の不動産評価
農地と山林を評価する場合には、その農地や山林がどこにあるかによって『倍率方式』と『宅地比準方式』のどちらの方法で評価額を算出するかが変わります。
農地は「純農地」「中間農地」「市街地周辺農地」「市街地農地」の4つに分けられます。
山林は「純山林」「中間山林」「市街地山林」の3つに分けられます。
これらのどれに該当するのかによって、評価方法が決められています。
純農地の場合……
もっぱら耕作を目的として、宅地の価額の影響を受けていないような農地を示す。
『倍率方式』で評価額を算出。
中間農地の場合……
市街地の近郊にある農地で、純農地より売買価額水準が高い農地を示す。
『倍率方式』で評価額を算出。
市街地周辺農地……
市街地に隣接しており、おおむね宅地などへの転用ができる農地を示す。
市街地農地としての評価額で算出。
市街地農地……
農地用の転用許可済みの農地、転用許可が不要な農地などを示す。
『宅地比準方式』または『倍率方式』で評価額を算出。
倍率方式での算出方法
倍率方式は、固定資産税評価額に国税局が公開している倍率表の率をかけて算出します。
倍率表の倍率の横に書かれた「純」は純農地と純山林、「中」は中間農地と中間山林、「周比率」は市街地周辺農地、「比準」は市街地農地と市街地山林をそれぞれ略したものです。
所有している畑の倍率が「純4.0」と表記されている場合には、固定資産額を4倍したものがその畑の評価額になります。
固定資産額が500万円だとすると、2000万円が評価額となります。
宅地比準方式での算出方法
これは、農地や山林を宅地として考えた評価額から、実際に宅地に転用するために必要な造成費用を引いて算出する方法です。
つまり、以下の計算式で算出します。
(宅地とみなした場合の1㎡あたりの価額 - 1㎡あたりの造成費の額)×地積=評価額
この場合の造成費用は国税局が定めた基準があり、地域や工事内容によって異なります。
所有している1000㎡の農地を宅地とみなし、1㎡の金額が5000円、整地費が600円だとすると、
(5000円-整地費600円)×1000㎡=440万円
となり、評価額は440万円となります。
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